ソニー生命、一時払終身保険を約28年ぶりに販売再開へ 明治安田の予定利率は一部引き上げ【2026年10月前半】
ソニー生命は2026年10月8日、「有期払込終身保険(無配当)」の商品改定と、一時払種目の販売再開を発表した。実施日は11月2日。1998年7月に販売を停止して以来、約28年ぶりの再開となる。
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ソニー生命は2026年10月8日、「有期払込終身保険(無配当)」の商品改定と、一時払種目の販売再開を発表した。実施日は11月2日。1998年7月に販売を停止して以来、約28年ぶりの再開となる。
今回の改定では、一時払種目の契約年齢範囲を50~85歳とするほか、一時払・平準払の両種目について最低保険金額を200万円から100万円へ引き下げる。
一方、円貨建一時払商品の予定利率を定期的に公表している明治安田生命では、10月1~15日適用分について、一時払養老保険の予定利率を前回と同水準に据え置いた。保険期間10年の予定利率は3.45%。一時払終身保険や「エブリバディ」では前回から引き上げられている。
ソニー生命は今回の販売再開の背景として金利環境の変化を挙げている。円金利を取り巻く環境の変化が、生命保険の商品改定や予定利率の設定を考えるうえで重要な要素となっている。
ただし、募集現場で注意したいのは、予定利率の数字だけでは商品の有利・不利を判断できないことだ。終身保険と養老保険では保障内容や保険金の受取条件が異なり、同じ予定利率でも費用や解約返戻金の仕組みによって顧客が受け取る金額は変わる。
今回は、ソニー生命の販売再開の内容と、明治安田生命の10月前半の利率動向を中心に、募集人が確認しておきたい事項を整理する。
※本稿は2026年10月8日時点で公表された資料に基づく。掲載する商品は市場全体を網羅したものではなく、利率の高低による商品の順位付けを目的とするものでもない。
ソニー生命、1998年に販売停止した一時払種目を再開
ソニー生命が今回販売を再開するのは、「有期払込終身保険(無配当)」の一時払種目である。
同社によると、一時払種目は低金利環境などを背景として1998年7月に販売を停止していた。今回、販売停止後の金利環境の変化や顧客からの要望を踏まえ、取扱いを再開する。
同社はこの商品について、契約時に保険金額が確定する終身保険と説明しており、まとまった資金を活用して一生涯の保障を確保したい顧客のニーズに対応するものとしている。
販売再開にあたり、一時払種目の契約年齢範囲は、販売停止時から変更される。
| 項目 | 販売停止時 | 2026年11月2日以降 |
|---|---|---|
| 契約年齢範囲 | 0~65歳 | 50~85歳 |
| 最低保険金額 | 200万円 | 100万円 |
| 最高保険金額 | 7億円 | 7億円 |
※ソニー生命の公表資料から作成。最低保険金額の引き下げは平準払種目も対象。
契約年齢範囲の変更によって、販売停止時には対象外だった66~85歳が新たに含まれる一方、50歳未満は再開後の一時払種目の取扱対象外となる。
また、最低保険金額を100万円に引き下げることで、従来より小さな保険金額でも契約できるようになる。同社は、少額から保障を準備したい場合や、相続への備えなどを改定の背景に挙げている。
なお、今回の販売再開は「有期払込終身保険(無配当)」の一時払種目についての発表であり、同社が取り扱う他の一時払終身保険とは区別して理解する必要がある。
出典: ソニー生命「『有期払込終身保険(無配当)』の改定および一時払種目の販売再開について」(2026年10月8日)
https://www.sonylife.co.jp/company/news/2026/files/261008_syushin.pdf
解約返戻率は年齢・性別で異なる 5年後に払込保険料を下回る例も
ソニー生命の発表資料には、保険金額1,000万円で一時払契約をした場合の保険料と、経過年数別の解約返戻率の例が掲載されている。
男性の契約例は次のとおりだ。
| 契約年齢 | 一時払保険料 | 5年後 | 10年後 | 20年後 |
|---|---|---|---|---|
| 50歳男性 | 6,199,550円 | 99.92% | 107.94% | 124.33% |
| 60歳男性 | 7,242,350円 | 99.47% | 106.42% | 119.25% |
| 70歳男性 | 8,258,520円 | 99.18% | 104.58% | 113.05% |
| 80歳男性 | 8,958,920円 | 100.73% | 104.22% | 108.59% |
※ソニー生命の2026年10月8日付資料による例示。解約返戻率は各保険年度の最終日時点の数値で、小数点第3位以下を切り捨てたもの。
同じ保険金額1,000万円でも、契約年齢によって一時払保険料が異なり、解約返戻率にも違いがある。
例えば50歳男性の例では、契約から5年後の解約返戻率は99.92%で、一時払保険料をわずかに下回る。60歳男性、70歳男性の例でも5年後の解約返戻率は100%未満となっている。
一時払で保険料をまとめて支払う場合でも、一定期間後の解約返戻金が払込保険料以上になるとは限らない。
また、20年後の解約返戻率は、50歳男性の124.33%に対し、80歳男性では108.59%となっている。年齢によって保険料と返戻率が異なるため、同じ保険金額の契約でも、解約時に受け取る金額と払込保険料の関係は変わる。
ここで区別しておきたいのが、予定利率と解約返戻率、年率換算の収益率の違いである。
解約返戻率は、所定の時点に解約した場合の解約返戻金額が、払込保険料に対してどの程度になるかを示したものだ。
解約返戻率から、特定の時点に解約した場合の払込保険料に対する年率換算の収益率を計算することはできる。
ただし、この数値は解約を前提とした計算上の指標であり、死亡保障の価値や税金などを反映したものではない。また、保険会社が保険料や責任準備金などの計算に用いる予定利率とも異なる。
したがって、ソニー生命の解約返戻率を年率に換算した数値と、他社が公表する予定利率を同じ性格の利率として比較することは適切ではない。
今回のソニー生命の発表資料には、販売再開後の一時払種目について、予定利率や費用の詳細、告知の取扱い、市場価格調整の有無などを判断するための十分な情報は掲載されていない。
同社は、2026年11月以降に発行する商品パンフレットや提案設計書などの確認を求めている。
募集人が実際の商品比較を行う際には、発表資料の例示だけで判断せず、正式な募集資料に基づき、契約条件と解約返戻金を確認する必要がある。
明治安田生命、一時払養老10年は3.45%で据え置き
円貨建一時払商品の予定利率では、明治安田生命が10月1~15日の契約日に適用する利率を公表している。
同社は対象商品の予定利率を毎月1日と16日に設定しており、今回は9月16~30日の適用分と比較する。
| 商品・区分 | 9月後半 | 10月前半 | 変動 |
|---|---|---|---|
| 一時払養老保険 7年 | 3.12% | 3.12% | 据え置き |
| 一時払養老保険 10年 | 3.45% | 3.45% | 据え置き |
| 一時払養老保険 15年 | 3.40% | 3.40% | 据え置き |
| エブリバディ 18~75歳 | 2.53% | 2.58% | +0.05ポイント |
| エブリバディ 76~85歳 | 2.49% | 2.54% | +0.05ポイント |
| 一時払終身保険 15年プラン | 2.46% | 2.51% | +0.05ポイント |
| 一時払終身保険 30年プラン | 2.56% | 2.60% | +0.04ポイント |
※明治安田生命の公表資料およびINSURANCE JOURNALの9月後半の定点観測記事から作成。
今回の改定では、一時払養老保険の3区分がいずれも据え置きとなった一方、エブリバディと一時払終身保険では予定利率が上昇した。
一時払養老保険では、保険期間10年の3.45%が、上記3区分の中で最も高い水準となっている。ただし、これは予定利率の比較であり、顧客が受け取る実際の利回りの順位を示すものではない。
利率の適用期間には違いがある
予定利率を比較する際には、契約時の利率がいつまで適用されるのかを確認する必要がある。
明治安田生命では、商品によって予定利率の適用期間と再設定の仕組みが異なる。
| 商品 | 契約時の予定利率の適用期間 | その後の取扱い |
|---|---|---|
| 一時払養老保険 | 保険期間中 | 保険期間中の利率変更なし |
| エブリバディ | 契約日から10年間 | 原則10年ごとに再設定 |
| 一時払終身保険 15年プラン | 契約日から15年間 | 原則15年ごとに再設定 |
| 一時払終身保険 30年プラン | 契約日から30年間 | 原則30年ごとに再設定 |
※再設定には年齢による上限など、商品ごとの所定の条件がある。
エブリバディと一時払終身保険では、契約時に設定された予定利率を所定の期間適用した後、予定利率計算基準日に利率を設定し直す仕組みとなっている。
ただし、利率が生涯にわたって一定期間ごとに見直され続けるわけではない。
明治安田生命の公表資料によると、最後の予定利率計算基準日は次のとおり定められている。
エブリバディ: 被保険者の年齢が96歳以上となる予定利率計算基準日
一時払終身保険15年プラン: 被保険者の年齢が96歳以上となる予定利率計算基準日
一時払終身保険30年プラン: 被保険者の年齢が81歳以上となる予定利率計算基準日
これらの最後の基準日に設定された予定利率は、その後の期間にも適用される。
また、エブリバディと一時払終身保険の最低保証予定利率は0.25%とされている。
例えば、一時払終身保険30年プランの予定利率2.60%は、契約後の全期間に同じ利率が適用されるという意味ではない。契約時の予定利率が適用される期間と、その後に設定し直す条件を区別する必要がある。
予定利率3.45%は、払込保険料の運用利回りではない
もう一つ注意したいのが、予定利率と顧客が受け取る金額の関係である。
明治安田生命は、予定利率について、保険金などを算出する際の基準となる利率であり、積立金に適用されるものと説明している。
同社によれば、積立金は契約初期費用や保険契約関係費用などを差し引いた後の金額である。
そのため、予定利率が3.45%だからといって、一時払保険料の全額が毎年3.45%で複利運用されるわけではない。
契約を検討する際には、予定利率に加え、契約締結前交付書面や設計書に基づき、保障内容、満期保険金、解約返戻金、費用などを確認する必要がある。
出典: 明治安田生命「円貨建一時払商品に適用される予定利率」
https://www.meijiyasuda.co.jp/norapl/find/rate/yencommon/planned_interest_rate/
大樹生命「楓ロード」は10月21日発売 公表利率は試算用
今月は、新たな円建て一時払商品の発売も予定されている。
大樹生命は2026年9月24日、円建て一時払養老保険「楓ロード」(正式名称:無配当一時払生存給付金付特殊養老保険)を10月21日に発売すると発表した。
同社の発表資料によると、保険期間は5年・10年・15年の3種類がある。
商品発表時に示された予定利率は次のとおりだ。
| 保険期間 | 2026年8月末時点の試算用予定利率 |
|---|---|
| 5年 | 2.48% |
| 10年 | 3.17% |
| 15年 | 3.72% |
ただし、これらは2026年8月末時点の金利環境を前提にした試算用の数値であり、発売後の契約に実際に適用される予定利率ではない。
同商品の予定利率は、毎月1日と16日を基準に見直す仕組みとされている。
したがって、発表時の15年物の試算用予定利率3.72%を、10月21日以降の契約に適用される確定した利率として案内することはできない。
契約初期費用と市場価格調整にも注意
「楓ロード」では、契約時に一時払保険料から契約初期費用が控除されるほか、契約後にも所定の保険契約関係費用が控除される。
また、解約・減額時には市場価格調整が適用される。
市場価格調整は、金利環境の変化などを解約返戻金の計算に反映する仕組みである。解約時の市場金利などによって解約返戻金額が変動するため、解約する時期によっては一時払保険料を下回る可能性がある。
市場価格調整による変動に加え、契約時や契約期間中に負担する費用も考慮する必要がある。
そのため、発表資料に掲載された予定利率のみを明治安田生命などの他社商品と並べて、どちらが有利かを判断することはできない。
同商品については、10月21日の発売後に実際に適用される予定利率と、正式な募集資料に基づく受取金額や解約時の条件を確認する必要がある。
出典: 大樹生命「~円建の一時払養老保険~『楓ロード』の発売について」(2026年9月24日)
https://www.taiju-life.co.jp/corporate/news/pdf/20260924_1.pdf
募集現場では何を確認すべきか 商品比較の前に顧客の資金目的を整理
今回取り上げた3社の情報は、いずれも円建ての一時払保険に関連するものだが、商品内容や公表されている数値の性格は異なる。
ソニー生命は終身保険の一時払種目を再開する。明治安田生命は既存商品の予定利率を定期的に設定している。大樹生命は生存給付金のある一時払養老保険を新たに発売する。
終身保障を確保したい顧客と、一定期間後の資金受取を重視する顧客では、検討すべき商品や条件が異なる。
募集現場では、次の事項を確認しておきたい。
① 資金の目的と保障ニーズ
まとまった資金を死亡保障として残したいのか、将来の生活資金として使いたいのか、一定期間後の受取を予定しているのか。
顧客の目的によって、終身保険、養老保険などの商品性の違いが重要になる。
予定利率の高低を比較する前に、顧客がその資金で何を実現したいのかを確認することが出発点となる。
② 資金を使う時期と途中解約の可能性
一時払保険では、契約時にまとまった保険料を支払う。
将来必要になる資金まで保険料に充てることが適切か、途中で資金を引き出す必要がないかを確認する。
特に、市場価格調整や解約控除のある商品では、途中解約時の受取金額に注意が必要だ。
市場金利の動向だけでなく、契約から解約までの期間によっても受取金額が変わる可能性がある。
③ 予定利率の適用期間と受取額
予定利率の水準だけでなく、その利率が何年間適用されるか、契約期間中に設定し直される仕組みがあるかを確認する。
比較では、必要に応じて保険料、死亡保険金、満期保険金、生存給付金、解約返戻金など、顧客の目的に対応する数値を用いる。
予定利率と解約返戻率は異なる指標であるため、数値の性格を区別して説明する必要がある。
④ 費用と解約時の条件
契約初期費用、契約期間中の費用、市場価格調整、解約控除などの仕組みを確認する。
予定利率が高くても、費用や解約条件を含めた受取金額が、必ずしも他の商品より有利になるとは限らない。
また、商品ごとに保障内容や給付金の受取方法が異なる場合には、それらの違いも含めて比較する必要がある。
⑤ 既契約から乗り換える場合の不利益
すでに加入している保険を解約し、新しい商品への加入を検討する場合は、既契約を継続した場合との比較が欠かせない。
保険業法第300条第1項第4号では、既存の保険契約を消滅させて新たな契約を申し込ませる場合などに、不利益となる事実を告げずに募集する行為を禁止している。
新商品の利率だけでなく、既契約を解約した場合の返戻金、失われる保障や契約条件、新たに負担する費用なども確認する必要がある。
複数商品から選別・推奨する場合には、顧客の意向と、その商品を推奨した理由を事後的に確認できるようにしておくことも重要になる。
記録の内容や方法については、適用される法令・監督指針と各社の募集管理ルールに従って対応する必要がある。
INSURANCE JOURNAL VIEW 予定利率の変化を、どう募集実務に結び付けるか
ソニー生命は、一時払種目の販売再開の背景として金利環境の変化を挙げている。大樹生命も新商品の発売にあたり、円金利の上昇傾向に言及している。
生命保険各社の公表情報を継続して確認すると、円金利を取り巻く環境の変化が、商品設計や予定利率の設定にどのように反映されているかを把握する材料になる。
ただし、予定利率の上昇が、そのまま顧客にとっての有利な契約条件を意味するわけではない。
保険期間、死亡保障、満期時の受取額、途中解約の条件など、商品ごとに確認すべき内容は異なる。
今回のソニー生命の販売再開も、利率の高さを確認する前に、どのような顧客の保障ニーズに対応する商品なのか、従来の商品と何が違うのかを見極める必要がある。
明治安田生命の予定利率についても、今回の改定では商品によって据え置きと引き上げに分かれた。
同じ円貨建一時払保険でも、契約時の利率を保険期間中適用する商品と、一定期間後に設定し直す商品とでは、顧客が負う金利変動の影響も異なる。
募集現場では「どの会社の利率が高いか」という比較にとどまらず、顧客の資金目的、保障ニーズ、保有予定期間、解約の可能性に照らして、商品内容を説明することが求められる。
INSURANCE JOURNALでは、円建て一時払保険の予定利率と商品改定について、引き続き各社の一次資料に基づく定点観測を行う。
次回は、10月16日から適用される明治安田生命の予定利率と、10月21日に発売される大樹生命「楓ロード」の取扱条件を確認する。
また、ソニー生命については、11月2日の販売再開に合わせて商品内容を追加検証する予定だ。
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円建て一時払保険の予定利率を定点観測【2026年9月後半】 明治安田の一時払養老10年は3.45%、大樹生命は10月に新商品
予定利率と実際の利回りの違い、市場価格調整、既契約からの乗換え、比較推奨販売の実務上の論点を詳しく解説している。
https://ins-journal.com/articles/1fb0d3cef26d/
参考資料
ソニー生命
「『有期払込終身保険(無配当)』の改定および一時払種目の販売再開について」(2026年10月8日)
https://www.sonylife.co.jp/company/news/2026/files/261008_syushin.pdf
明治安田生命
「円貨建一時払商品に適用される予定利率」
https://www.meijiyasuda.co.jp/norapl/find/rate/yencommon/planned_interest_rate/
大樹生命
「~円建の一時払養老保険~『楓ロード』の発売について」(2026年9月24日)
https://www.taiju-life.co.jp/corporate/news/pdf/20260924_1.pdf
INSURANCE JOURNAL
「円建て一時払保険の予定利率を定点観測【2026年9月後半】」(2026年9月29日掲載)
https://ins-journal.com/articles/1fb0d3cef26d/
※本稿は2026年10月8日時点で各社が公表している資料をもとに作成しています。記載した予定利率、保険料、解約返戻率などは、各商品の条件や資料に示された試算例であり、すべての契約に適用されるものではありません。予定利率や取扱条件、費用等は変更される場合があります。実際の募集にあたっては、各保険会社が提供する最新の商品パンフレット、提案設計書、契約締結前交付書面(契約概要・注意喚起情報)、約款等をご確認ください。
本記事はINSURANCE JOURNAL編集部による解説・分析です。制度・商品の詳細は公式発表をご確認ください。
