千葉豪雨の特別措置、継続・払込猶予は10月末まで 募集人が確認したい7つの点検項目
令和8年8月千葉豪雨で災害救助法が適用された千葉県の25市町村では、損害保険の継続契約の手続きと保険料の払込みを2026年10月末日まで待つ特別措置が行われている。その対象と条件を、協会と保険会社の公表資料に書かれている範囲で整理する。そのうえで、募集人が今週から使える7つの点検項目にまとめた。
目次
2026年8月13日に発生した千葉豪雨について、災害救助法の適用地域で被害を受けた契約者を対象に、損害保険の継続契約の締結手続きと保険料の払込みを2026年10月末日まで猶予する特別措置が実施されている。
10月6日時点で、期限まで1か月を切った。
対象地域に顧客を持つ代理店では、「特別措置がある」と知っているだけでは足りない。
どの契約が対象になり得るのか。
満期日はいつか。
保険料の払込期日はいつか。
適用にあたり契約者からの申出や別途手続きが必要なのか。
今月中に、こうした点を契約単位で確認しておきたい。
本稿では、8月の千葉豪雨の支払状況を簡潔に確認したうえで、募集人・代理店が10月末までに確認しておきたい実務を7項目に整理する。
千葉豪雨の支払保険金は354.4億円
日本損害保険協会は2026年9月17日、8月28日時点の「令和8年8月千葉豪雨」に係る各種損害保険の支払状況を公表した。
事故受付件数は合計3万2,333件。
支払台数・件数は3万30件、支払保険金は354億4,223万8,000円となっている。
内訳は、
車両保険(商品車含む) 206億3,200万9,000円
火災保険 143億3,064万2,000円
新種保険(傷害保険含む) 4億7,958万7,000円
だった。
車両保険が全体の約58%を占めている。
ただし、ここで注意したいのは数字の定義だ。
損保協会によると、「事故受付件数」には事故調査の依頼だけでなく、補償内容や契約に関する相談・問い合わせなども含まれる。
また、支払台数・件数と支払保険金は見込みを含む数字であり、確定した最終支払実績ではない。
募集人が顧客に説明する場合も、「3万2,333件の保険金請求があった」「354億円がすでに支払われた」と言い換えないよう注意したい。
今回の記事でより重要なのは、この支払額そのものではない。
10月末まで続いている特別措置への対応だ。
継続契約の手続きと保険料払込みを10月末まで猶予
8月13日からの大雨に伴い災害救助法が適用された千葉県内の地域について、損害保険各社は特別措置を実施している。
対象となるのは、火災保険、自動車保険、傷害保険などの各種損害保険で、自賠責保険は除かれる。
主な特別措置は二つある。
1.継続契約の締結手続きの猶予
災害救助法の適用日から2か月後の末日までに満期を迎える継続契約について、締結手続きを猶予する。
8月13日に災害救助法が適用された地域については、2026年10月末日までが猶予期日となる。
2.保険料の払込みの猶予
同じく、災害救助法の適用日から2か月後の末日までに払い込むべき保険料について、払込みを猶予する。
こちらも8月13日適用地域では10月末日までとなる。
対象となるのは、単に「千葉県に住んでいる契約者」ではない。
災害救助法が適用された地域で、契約者が被害を受けた場合などが前提となる。
実際の適用可否や必要な手続きについては、取扱保険会社の最新の案内、代理店向け通知等を確認する必要がある。
募集人が10月中に確認したい7項目
1.対象地域の契約を抽出できているか
最初に確認したいのは、自社の契約管理システムから、災害救助法が適用された地域の契約を抽出できているかだ。
8月13日の大雨では、千葉市、市川市、船橋市、館山市、松戸市、茂原市、佐倉市、市原市などを含む千葉県内25市町村が対象となっている。
住所だけで抽出する場合でも、
契約者住所
保険の目的の所在地
自動車の使用の本拠
など、契約によって確認すべき情報が異なる可能性がある。
単純に郵便番号だけで一律判断するのではなく、自社の取扱保険会社が示す対象条件を確認したい。
2.10月末までに満期を迎える契約を確認したか
継続契約の締結手続き猶予は、対象地域のすべての契約に無条件で適用されるものではない。
まず、対象となる契約の中から、猶予対象となり得る満期契約を確認する必要がある。
特に注意したいのは、
「特別措置があるから、更新は11月になっても大丈夫」
と一律に扱わないことだ。
適用要件や実際の取扱いは、契約ごとに確認する必要がある。
代理店では通常の満期管理とは別に、特別措置の対象候補を識別できる状態にしておきたい。
3.保険料の払込期日を確認したか
満期だけでなく、保険料の払込期日も確認が必要だ。
特別措置では、所定の期間内に払い込むべき保険料について猶予が設けられている。
対象となり得る契約について、
払込方法
通常の払込期日
未払の有無
特別措置を適用した場合の期限
を確認しておきたい。
特に月払契約や口座振替契約などでは、通常の収納スケジュールとの関係もある。
代理店独自の解釈で判断せず、各保険会社の案内を確認することが前提となる。
4.特別措置を利用するための手続きを確認したか
損保協会は特別措置の基本的な内容を公表しているが、実際の手続き方法まで全社共通というわけではない。
契約者からの申出が必要なのか。
代理店から保険会社への連絡が必要なのか。
どの時点で特別措置の対象として登録するのか。
必要となる情報や社内処理は何か。
こうした運用は、取扱保険会社の最新の案内、代理店向け通知、必要に応じて約款等で確認したい。
募集人個人の経験だけに頼らず、代理店内で会社別の取扱いを共有しておくことが重要だ。
5.顧客への案内内容を記録できているか
特別措置の対象となり得る顧客へ連絡した場合には、案内した内容を後から確認できるようにしておきたい。
例えば、
連絡日
連絡方法
誰と話したか
被害状況について確認した内容
満期日または払込期日
特別措置について案内した内容
契約者の意向
今後必要となる手続き
などだ。
これは損保協会が指定している記録様式ではない。
ただ、期限を伴う特別措置である以上、後から「誰に、何を案内したのか」を確認できる状態にしておくことには実務上の意味がある。
自社ですでに災害対応用の記録様式や顧客対応履歴の入力ルールがある場合は、それに沿って対応したい。
6.10月31日を単純に「最終営業日」と考えていないか
2026年10月31日は土曜日に当たる。
ここは実務上、確認しておきたいポイントだ。
損保協会が公表している猶予期日は「10月末日」である。
だからといって、代理店側が
「11月2日の月曜日に処理すればよい」
と自己判断してよいわけではない。
また、10月30日金曜日の営業時間までに代理店側で何らかの処理を完了させる必要があるかどうかについても、各保険会社の運用を確認する必要がある。
期限直前になって確認するのではなく、10月中旬までには会社別の取扱いを整理しておきたい。
7.11月初めに未完了案件を照合できるか
期限までに対応したつもりでも、
顧客への連絡だけで止まっている
保険会社への連絡が完了していない
必要な登録がされていない
保険料の扱いが確定していない
といった案件が残る可能性がある。
そのため、10月末までの対応だけで終わりにせず、11月最初の営業日には対象案件を再度照合し、処理状況を確認したい。
通常の満期管理と同じ一覧の中で管理すると見落とす可能性がある場合には、特別措置の対象候補を別途識別する方法も考えられる。
同じ千葉県でも「10月末」と「11月末」がある
今回、特に注意したいのが災害ごとの期限の違いだ。
8月13日からの大雨について、千葉県の災害救助法適用地域では特別措置の猶予期日が10月末日となっている。
一方、9月の台風第25号に伴う災害についても、千葉県内の複数地域に災害救助法が適用されている。
こちらは法の適用日が9月20日で、特別措置の猶予期日は11月末日だ。
つまり、2026年10月時点では千葉県内の災害案件であっても、
8月13日大雨 → 10月末
台風第25号 → 11月末
という異なる期限が並行して存在する。
「千葉県の災害案件だから11月末まで」と一括して扱うと、8月豪雨分の期限を取り違えるおそれがある。
顧客管理では、所在地だけでなく、
どの災害による特別措置なのか
災害救助法の適用日はいつか
猶予期日はいつか
まで紐付けて管理したい。
今後、新たな災害救助法の適用や特別措置が公表される可能性もあるため、損保協会や取扱保険会社の最新情報を継続して確認する必要がある。
「対象になりそうだから」と自己判断しない
特別措置の記事を書くと、「対象地域に住所があれば自動的に猶予される」と受け取られる可能性がある。
しかし、実務ではそのように単純ではない。
損保協会は、災害救助法が適用された地域で契約者が被害を受けた場合などについて、各損害保険会社が継続契約の締結手続きや保険料の払込みを猶予すると案内している。
最終的な適用や手続きについては、各保険会社へ確認する必要がある。
募集人から顧客へ案内する際も、
「この地域なら自動的に期限が延びます」
と断定するのではなく、
「特別措置の対象となる可能性がありますので、契約内容と状況を確認します」
としたうえで、保険会社の取扱いを確認する方が安全だ。
保険金請求とは別の「契約管理」の災害対応
自然災害が発生すると、代理店の業務は事故受付や保険金請求支援に集中しやすい。
もちろん、被害を受けた顧客の保険金請求を支援することは重要だ。
一方で、災害対応にはもう一つの側面がある。
契約を切らさないための管理だ。
被災によって、
更新の連絡が取れない
必要書類を準備できない
保険料の払込みが難しい
といった状況が起こり得る。
特別措置は、こうした状況にある契約者のために設けられている。
だからこそ代理店側には、
「特別措置があります」
と案内するだけでなく、
対象契約を見つける
契約者の状況を確認する
会社別の手続きを確認する
期限を管理する
対応履歴を残す
ところまで含めた管理が求められる。
※本稿は2026年10月6日時点で、日本損害保険協会が公表している「令和8年8月千葉豪雨に係る各種損害保険の支払件数・支払保険金等について」「令和8年8月13日からの大雨に伴う災害により被害を受けられた皆様へ」「令和8年台風第25号に伴う災害により被害を受けられた皆様へ」等を基に整理しています。特別措置の適用可否、必要な手続き、期限前後の取扱いについては、契約する損害保険会社または取扱代理店の最新情報を確認してください。
参考資料
日本損害保険協会
「令和8年8月千葉豪雨に係る各種損害保険の支払件数・支払保険金等について(2026年8月28日現在)」
2026年9月17日
日本損害保険協会
「令和8年8月13日からの大雨に伴う災害により被害を受けられた皆様へ」
2026年8月14日
日本損害保険協会
「令和8年台風第25号に伴う災害により被害を受けられた皆様へ」
2026年9月24日
情報源
- 官公庁・業界団体 令和8年8月千葉豪雨に係る各種損害保険の支払件数・支払保険金等について(2026年8月28日現在) →
- 官公庁・業界団体 令和8年熊本地震に係る地震保険の支払件数・支払保険金等について(2026年8月28日現在) →
- 官公庁・業界団体 協会長ステートメント →
- 官公庁・業界団体 令和8年8月13日からの大雨に伴う災害により被害を受けられた皆様へ →
- 官公庁・業界団体 令和8年熊本地震により被災された皆様へ →
- 保険会社発表 令和8年8月13日からの大雨により被害を受けられた皆様へ →
- 保険会社発表 令和8年8月13日からの大雨により被害を受けられた皆様へ →
本記事はINSURANCE JOURNAL編集部による解説・分析です。制度・商品の詳細は公式発表をご確認ください。

