WECARSが損害保険代理店登録、自賠責の取扱いへ 旧ビッグモーターの登録取消しから約3年
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旧ビッグモーターの中古車販売事業などを承継したWECARS(ウィーカーズ)が、自賠責保険の取扱いに向けて損害保険代理店の登録を受けたと、共同通信が2026年10月31日に報じた。旧ビッグモーターグループの3社は、保険募集に関する法令違反や管理態勢の不備などを理由に、2023年11月に代理店登録を取り消されている。今回登録を受けたと報じられたWECARSは、2024年に事業を承継した別法人だ。登録の意味と、これまでの経緯を整理する。
WECARS、自賠責保険の取扱いに向けて代理店登録
中古車販売大手WECARSが、損害保険代理店の登録を受けたことが明らかになった。
共同通信が10月31日に報じたもので、金融庁は登録要件を満たしているとして、WECARSの登録を受け付けたという。
今回の登録により、WECARS自身が自賠責保険を取り扱うための法的な前提が整ったことになる。
自賠責保険は、自動車損害賠償保障法に基づき、自動車やバイクの保有者に原則として加入が義務付けられている保険だ。自動車販売店や整備工場でも、損害保険会社の代理店として契約手続きを取り扱っている。
ただし、今回の報道では、WECARSの具体的な登録日、委託先となる損害保険会社、実際の取扱開始日、対象店舗などは明らかになっていない。
また、今回報じられたのは自賠責保険の取扱いに関する動きであり、任意の自動車保険についてもWECARSが募集を開始するという情報は確認できていない。
旧ビッグモーター3社は2023年11月に登録取消し
今回の動きの背景には、2023年に旧ビッグモーターグループが受けた行政処分がある。
関東財務局は2023年11月24日、株式会社ビッグモーター、株式会社ビーエムホールディングス、株式会社ビーエムハナテンの3社に対し、保険業法第307条第1項第3号に基づき、同月30日付で損害保険代理店登録を取り消す処分を行った。
当時、旧ビッグモーターグループでは自動車修理に伴う保険金不正請求問題が表面化していた。
一方、代理店登録の取消処分について、関東財務局は保険募集に関する法令違反や著しく不適当な行為を認定している。
公表された処分理由では、経営管理態勢が十分に機能していなかったことに加え、保険募集人への教育・指導やモニタリングなど、適正な保険募集を確保するための管理態勢に重大な問題があったことが指摘された。
立入検査では、保険募集システム上で極めて短時間に契約締結手続きなどが行われた148件を抽出して確認した結果、122件について重要事項の網羅的な説明が行われていなかったことが認められた。
また、保険加入を条件とする車両価格の値引きや、従業員・下請事業者に対する不適切な保険加入の働きかけなども確認された。
これらは関東財務局が2023年の行政処分で認定した旧ビッグモーターグループの事実であり、2024年に発足したWECARSに対する認定ではない。
WECARSは2024年に事業を承継した別法人
WECARSは2024年5月1日、伊藤忠商事、伊藤忠エネクス、ジェイ・ウィル・パートナーズの共同出資による新たな事業運営体制のもとで発足した。
伊藤忠商事の発表によれば、WECARSは会社分割によって旧ビッグモーターグループの事業を承継した。
一方、旧ビッグモーターは株式会社BALMに商号を変更して存続し、過去のコンプライアンス違反に起因する損害賠償への対応や融資の弁済などに取り組むこととされた。
つまり、2023年に代理店登録を取り消された旧ビッグモーターグループの法人と、今回登録を受けたと報じられたWECARSは、法律上は異なる法人である。
今回の登録は、旧ビッグモーターグループに対する登録取消処分が撤回されたことを意味するものではない。
WECARSは発足に際し、旧経営陣を含まない経営体制を構築し、ガバナンスとコンプライアンスを重視する方針を公表した。
2024年11月には改革プラン「WECARSの約束。」を発表。人事制度の見直しや内部通報制度の拡充、社員教育などの取組みを示している。
なお、今回の代理店登録の審査において、こうした個々の改革施策がどのように評価されたのかについては、具体的な情報は確認できていない。
2024年から「ほけんの窓口」と連携
WECARSは新会社発足後、保険相談サービスについて外部の保険代理店との連携を進めてきた。
2024年7月31日、ほけんの窓口グループはWECARSと連携し、WECARS店舗内で保険相談サービスを開始したと発表した。
当初は20店舗で順次サービスを開始する計画で、19店舗にはオンライン相談用の設備を設置し、1店舗には対面相談が可能な店舗を出店する方針を示していた。
同社の発表では、WECARSが行う自動車販売と、ほけんの窓口が提供する保険相談サービスを明確に切り分けると説明されている。
これは、WECARS自身が保険募集を行う仕組みとは異なる。
今回報じられた代理店登録は、こうした外部代理店による保険相談とは別に、WECARS自身が自賠責保険を取り扱うための登録という位置付けになる。
なお、2024年の連携開始以降、2026年11月時点でサービスが何店舗に展開されているかなど、現在の具体的な運用状況は確認できていない。
任意の自動車保険の取扱いとは区別が必要
損害保険代理店として保険を取り扱うには、原則として保険会社との代理店委託契約を締結したうえで、保険業法に基づく代理店登録を受ける必要がある。
登録制度そのものは、取扱う個別の商品ごとに独立した登録を受ける仕組みではない。
一方、実際に募集できる保険商品や業務の範囲は、保険会社との委託契約などによって決まる。
したがって、今回の登録報道だけをもって、WECARSが任意の自動車保険についても販売を開始すると判断することはできない。
現時点では、自賠責保険の取扱いに向けた登録という事実と、今後の任意保険の取扱方針を分けて捉える必要がある。
登録後の取扱態勢と運用状況に注目
旧ビッグモーターグループに対する2023年の行政処分では、個々の募集行為に加え、経営管理態勢や保険募集人への教育・指導、モニタリングの不備が問題とされた。
今回、事業を承継した別法人であるWECARSが新たに損害保険代理店登録を受けたと報じられたことは、同社の保険取扱業務に関する新たな動きとなる。
今後確認すべき点は、委託元となる損害保険会社、取扱開始時期、対象店舗、保険募集を担当する従業員の管理態勢などだ。
代理店登録を受けることと、その後も適切な保険募集を継続することは別の問題である。
WECARSが自賠責保険をどのような体制で取り扱うのか、今後の公表内容と実際の運用が注目される。
この記事の出典
本記事はINSURANCE JOURNAL編集部による解説・分析です。制度・商品の詳細は公式発表をご確認ください。


