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比較推奨理由の書き方【記載例付き】代理店都合の推奨が問題になる理由

比較推奨理由の書き方【記載例付き】代理店都合の推奨が問題になる理由

「なぜこの商品をおすすめするのか」——比較推奨理由の説明は、乗合代理店にとって毎日のように行っている実務でありながら、監督指針の求める水準を満たせているかとなると、自信を持って答えられる担当者は多くありません。

目次
  1. 比較推奨理由とは
  2. なぜ必要なのか
  3. ハ方式との違い
  4. ロ方式ではどう変わるのか
  5. 推奨理由として見直しが必要な表現
  6. 良い記載例
  7. ケース別記載例
  8. 管理者が確認すべきポイント

「なぜこの商品をおすすめするのか」——比較推奨理由の説明は、乗合代理店にとって毎日のように行っている実務でありながら、監督指針の求める水準を満たせているかとなると、自信を持って答えられる担当者は多くありません。比較推奨販売をめぐっては、顧客の意向に基づかず、代理店側の事情によって商品を推奨する従来の枠組みを見直し、顧客の意向に沿った選別・推奨を求める方向で制度整備が進められています。制度見直し後は、これまで用いられてきた説明の中にも、推奨理由として見直しが必要になるものがあります。本稿では、比較推奨理由の基本から、NG例・OK例、ケース別の記載テンプレート、管理者が確認すべきチェックポイントまで、実務でそのまま使える形で解説します。

比較推奨理由とは

比較推奨理由とは、乗合代理店(二以上の所属保険会社等を有する保険募集人)が、顧客に特定の保険商品を提示・推奨する際に、「なぜその商品を選んだのか」を顧客にわかりやすく説明する内容のことです。保険業法施行規則第227条の2第3項第4号および監督指針II-4-2-9(5)にもとづき、乗合代理店には次の3パターンに応じた説明義務が課されています。

パターン求められる説明
①複数商品を比較して説明する場合比較に係る事項の説明
②顧客の意向に沿って商品を選別・推奨する場合比較可能な同種の保険契約の概要+提案理由の説明
③客観的な基準等によらず、特定の商品を提示・推奨する場合
(業界で一般に「ハ方式」と呼ばれてきた方法)
提案理由の説明のみ

比較推奨理由は、単に「おすすめの商品はこれです」と伝える営業トークではありません。意向把握で確認した顧客のニーズと、提示・推奨する商品の特性を結びつけ、なぜその商品を提案したのかを顧客にわかりやすく説明するためのものです。

なぜ必要なのか

比較推奨理由の説明が不十分なまま契約が成立すると、顧客は「なぜこの商品を選んだのか」を理解しないまま加入することになり、後から「もっと自分に合った商品があったのでは」という不満やクレームにつながりやすくなります。

また、制度見直しでは、比較推奨販売の実施状況を確認・検証し、必要に応じて改善できる体制を整えることが重視されています。そのため、顧客の意向、比較・選別した商品の範囲、推奨理由などを、事後的に確認できる形で記録する運用が重要になります。つまり比較推奨理由は、口頭で説明すれば終わりというものではありません。比較推奨販売の実施状況を事後的に確認できるよう、説明した内容や判断の根拠を記録として残す運用が重要です。具体的な記録項目や保存方法については、所属保険会社や代理店の社内規則に従う必要があります。

ハ方式との違い

従来の枠組みでは、客観的な商品基準によらず、代理店の経営方針や取扱方針、保険会社との関係などを理由として、特定の商品を提示・推奨する場合の説明方法が規定上設けられていました。ただし、ハ方式と呼ばれてきた方法であっても、顧客の意向把握や意向確認が不要だったわけではありません。従来は、顧客の意向に基づく客観的な商品選別とは別に、代理店側の取扱方針などを推奨理由として説明する類型が存在していました。

比較推奨販売に関する制度見直しでは、顧客の意向に基づかず、代理店側の事情を中心に商品を推奨する従来の類型を見直し、顧客が重視する事項に沿って商品を選別・推奨する方向が示されています。今後の比較推奨理由は、顧客の意向を起点として構成することが、これまで以上に重要になります。

ロ方式ではどう変わるのか

制度見直し後の比較推奨販売では、顧客が重視する事項を把握したうえで、その意向に沿って商品を選別・推奨し、なぜその商品を提案したのかをわかりやすく説明することが求められます。また、制度見直しでは、比較推奨販売の実施状況を確認・検証し、必要に応じて改善できる体制を整えることが重視されています。そのため、顧客の意向、比較・選別した商品の範囲、推奨理由などを、事後的に確認できる形で記録する運用が重要になります。

顧客が「よく分からない」「お任せしたい」と回答した場合でも、その言葉だけで意向把握を終えるのではなく、保障・補償内容、保険料、保険期間などの選択肢を示しながら、顧客が重視する事項を整理することが重要です。「お任せ」と言われたことだけを理由に、推奨理由の説明を省略することは適切ではありません。

ロ方式で必須になる説明の構成
比較推奨理由を分かりやすく説明・記録するには、「①顧客の意向」「②比較・選別の対象とした商品の範囲」「③その中から商品を絞り込んだ理由」の3点を整理する方法が有効です。
顧客の意向が記載されていなければ、推奨した商品と顧客のニーズとの関係を事後的に確認することが難しくなります。

推奨理由として見直しが必要な表現

次のような表現は、顧客の意向との関係が示されておらず、それだけでは適切な推奨理由になりません。事実として説明すること自体が直ちに禁止されるわけではありませんが、商品の選別・推奨理由として単独で用いることは避ける必要があります。

NG「弊社は〇〇保険会社と長年のお取引がありますので、こちらの商品をおすすめしています」

→ 保険会社との取引関係は代理店側の事情であり、これだけでは目の前の顧客の意向にその商品が合っている理由を説明できていない

NG「当社のイチオシ商品です。多くのお客様がこちらを選ばれています」

→ 販売実績や他の顧客の選択状況は参考情報にはなり得るものの、それだけでは目の前の顧客の意向に合致する理由にはならない

NG「お客様は特にご希望がないとのことでしたので、当社のおすすめをご案内します」

→ 「お任せ」という回答だけで意向把握を終えており、顧客が重視する保障内容、保険料、保険期間などを具体化できていない

NG「当社に支払われる募集手数料が高いため、こちらの商品をご案内します」

→ 顧客の意向ではなく代理店の収益を中心に商品を選別しており、顧客本位の業務運営や誠実公正な業務遂行の観点から問題となる可能性が高い

良い記載例

比較推奨理由を記録する際は、「顧客が重視した事項」「比較・選別の対象とした商品の範囲」「その商品を提案した理由」の3点が確認できるようにすることが重要です。

OK「お客様が『月額保険料は〇円以内に抑えつつ、入院日額1万円の保障を確保したい』とのご意向でしたので、当代理店で取り扱う同種商品のうち、今回の条件で比較可能なA社、B社、C社の商品を比較しました。その結果、ご予算の範囲内であり、希望された入院保障の条件を満たすA社の商品をご提案しました」

OK「病があり告知に不安があるとのご意向を踏まえ、当代理店で取り扱う引受基準緩和型商品のうち、告知項目、保障内容、保険料水準を比較しました。その結果、お客様が申告された健康状態と希望された保障内容を踏まえ、B社の商品をご提案しました」

OK「就業不能時の収入減少への備えを最優先したいとのご意向を踏まえ、就業不能保険を扱う3社を比較し、支払対象期間・免責期間の条件がご意向に最も合致するC社の商品をご提案しました」

いずれも「なぜこの商品なのか」が、顧客自身の言葉・状況に紐づいている点が共通しています。

ケース別記載例

ケース1:医療保険(保険料重視型)

意向:「保険料をできるだけ抑えたい。入院と手術の保障があれば十分」
記載例:「保険料を最優先されるとのご意向を踏まえ、入院・手術保障を備えた保険料重視型の商品の中から、同水準の保障内容で最も保険料が抑えられているD社の商品を比較のうえご提案しました」

ケース2:がん保険(保障の手厚さ重視)

意向:「親族にがん経験者がいるため、診断給付金を手厚くしたい」
記載例:「ご家族にがんのご経験がある方がいらっしゃり、診断給付金を手厚くしたいとのご意向でしたので、診断給付金の複数回支払いに対応する商品を比較し、支払要件が最もご意向に沿うE社の商品をご提案しました」

ケース3:外貨建て保険(貯蓄性重視)

意向:「老後資金として長期的に準備したい。為替変動によって円換算額が払込保険料を下回る可能性や、中途解約時の損失が生じる可能性を理解したうえで、一定の価格変動を許容できる」
記載例:「老後資金として15年以上使用する予定がなく、為替変動により円換算額が払込保険料を下回る可能性、中途解約時の損失、為替手数料その他の費用についてご理解いただいたうえで、一定の価格変動を許容できるとのご意向を確認しました。円建て商品と外貨建て商品について、保障内容、解約返戻金の変動、為替リスク、諸費用を比較し、長期での資金準備というご意向に沿う商品としてF社の商品をご提案しました」

ケース4:企業向け損害保険(法人契約)

意向:「事業内容が変化し、従来の補償範囲では不安がある」
記載例:「事業内容の変化に伴い補償範囲の見直しをご希望とのことでしたので、現行の事業内容に対応する損害保険商品を複数比較し、補償範囲と保険料のバランスがご意向に最も合致するG社の商品をご提案しました」

管理者が確認すべきポイント

比較推奨理由の記録は、担当者任せにすると記載の質にばらつきが生じやすい部分です。管理者・コンプライアンス担当者は、次の観点で記録をチェックすることが望まれます。

  • 顧客の意向(具体的な発言・状況)が明記されているか、それとも省略されていないか
  • 推奨理由が、顧客の意向ではなく、保険会社との取引関係、代理店に支払われる手数料、社内の販売方針など、代理店側の事情だけに依拠していないか
  • 比較した商品群と、そこから絞り込んだ客観的な基準(保険料水準・保障内容・告知条件など)が示されているか
  • 「お任せされた」「特に希望がなかった」ことを理由に説明を省略していないか
  • 記載内容が担当者によって粒度・書式にばらつきがないか(テンプレート化の余地がないか)
  • 比較推奨理由の記録が、意向把握記録・最終意向確認の記録と整合しているか

特に、顧客の意向が不明確なまま推奨理由だけが記載されているケースは、顧客の意向を十分に把握せず、代理店側の営業上の事情によって特定の商品へ誘導したと評価されるおそれがあります。優先的に点検すべきポイントです。

注意点
本稿でいう「ハ方式」「ロ方式」は、比較推奨販売の方法を説明するために業界で用いられている通称であり、法令上の正式名称ではありません。本稿の記載例は、比較推奨理由の説明・記録方法について一般的な構成を示すものであり、特定の商品の推奨や募集行為の適切性を保証するものではありません。実際の募集では、顧客の個別事情、募集時点の商品内容、取扱商品の範囲、所属保険会社および代理店の社内規則に基づいて判断してください。また、制度の施行日および最終的な規定内容については、金融庁が公表する最新資料をご確認ください

参考:保険業法施行規則第227条の2第3項第4号、「保険会社向けの総合的な監督指針」Ⅱ-4-2-9、金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」報告書、金融庁が公表した比較推奨販売に関する改正案等をもとに作成。制度の施行日、最終的な規定内容および実務上の取扱いについては、金融庁、所属保険会社等が公表する最新資料をご確認ください。

本記事はINSURANCE JOURNAL編集部による取材・調査・分析をもとに構成しています。

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