引受基準緩和型医療保険とは?高齢化時代に知っておきたい基礎知識
かつて生命保険といえば、遺された家族の生活を守るための「万一のときの死亡保障」が中心でした。しかし高齢化が進み、子どもが独立した後の人生が長くなった今、保障のあり方も変わりつつあります。
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かつて生命保険といえば、遺された家族の生活を守るための「万一のときの死亡保障」が中心でした。しかし高齢化が進み、子どもが独立した後の人生が長くなった今、保障のあり方も変わりつつあります。50代後半以降になると、「家族のための死亡保障」から「自分のこれからの人生に備える医療保障」へと、お客さまの関心の重心が移っていきます。
その一方で、中高年層が医療保険への加入を検討すると、持病や過去の病歴が壁となり、一般的な医療保険では加入が難しいケースに直面することが少なくありません。本記事では、そうしたお客さまへの提案の選択肢となる「引受基準緩和型医療保険」について、統計データとともに基礎から整理します。
なぜ今、医療保険が「主役」になっているのか
厚生労働省「令和6年簡易生命表」によれば、日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳です。2021年・2022年は新型コロナウイルスの影響で一時的に前年を下回ったものの、長期的には右肩上がりで延び続けており、子どもが独立した後にも30年近い人生が続くことになります。この期間をどう安心して過ごすかが、多くのお客さまにとっての課題です。
生命保険文化センターの令和7年度「生活保障に関する調査」(速報版)でも、この変化が数字に表れています。
| 年 | 医療保険加入率 | がん保険・がん特約加入率 |
|---|---|---|
| 2013年 | 74.0% | 37.3% |
| 2016年 | 72.1% | 37.8% |
| 2019年 | 73.1% | 42.6% |
| 2022年 | 66.8% | 41.9% |
| 2025年 | 66.4% | 42.0% |
医療保険の加入率は約7割前後で推移し、がん保険の加入率は増加傾向にあります。「死亡保障だけでは十分ではない」という視点が、お客さまの保障設計において欠かせなくなっていることがうかがえます。
引受基準緩和型医療保険とは何か
持病がある方や過去に大病を経験した方、現在薬を服用している方でも、一定の条件を満たせば加入できる医療保険が「引受基準緩和型医療保険」です。健康状態に不安があるために一般の医療保険への加入をあきらめていたお客さまにとって、長い人生を安心して過ごすための選択肢の一つとなります。ただし、現在入院中である場合や治療の内容によっては、加入できない可能性がある点には注意が必要です。
一般の医療保険との違い(告知条件の緩和)
生命保険への加入には必ず健康状態の告知が必要ですが、一般の医療保険では持病や既往歴があると加入が難しいケースが多くあります。引受基準緩和型保険では、この告知条件を緩め、病気ごとに「過去2年以内」「過去5年以内」といった期間を区切って加入可否を判断する仕組みが一般的です。告知項目が少なく、期間で区切って判断される分、一般の医療保険に比べて門戸が広くなっています。
告知項目でよく問われる持病・既往歴
引受基準緩和型医療保険の告知項目は商品によって異なりますが、代表的なものを押さえておくと、お客さまへの説明や提案時の照合がスムーズになります。
がん・上皮内新生物の場合
厚生労働省「令和5年患者調査」によれば、がん・上皮内新生物の患者総数は369万6,000人に上ります。医学の進歩により治療成績が向上していることを背景に、商品によっては「過去5年以内に、医師の診察・検査・治療・投薬・入院・手術を受けていない」などの条件が設けられている場合があります。ただし、これらの条件を満たす場合でも加入を保証するものではなく、最終的な加入可否は各保険会社の引受査定によります。
肝硬変・認知症・精神疾患などその他の告知項目
「肝硬変」「認知症」「精神疾患」「アルコール依存症」なども告知項目に含まれることが多く、商品によっては「心疾患」や「脳卒中」の既往歴があっても一定の条件を満たすことで三大疾病保障を付加できるものや、「高血圧症」「糖尿病」があっても加入できる商品もあります。
保険料はどのくらい割高になるのか、軽減策はあるか
引受基準緩和型医療保険は、健康リスクが相対的に高い方を対象とするため、一般の医療保険と比べて保険料はやや高めに設定される傾向があります。上乗せの幅は保険会社・商品によって差があり、保険料の設定方法や割引制度の有無も商品ごとに異なるため、具体的な金額は各社の最新の商品案内でご確認ください。なお、契約後一定期間の入院日数が少ないことなどを条件に、保険料が割引になる商品もあります。
終身型の医療保険は2000年代に広まったため、50代後半以降の方の中には加入していない方も少なくありません。年齢が上がるほど健康リスクは高まり、入院日数も長くなる傾向があります。
| 年代 | 平均入院日数の目安 |
|---|---|
| 30代 | 約10日前後 |
| 50代後半 | 約20日前後 |
| 70歳超 | 約1か月 |
こうした背景から、医療費負担は老後生活における大きな懸念材料になります。持病があっても加入できる引受基準緩和型保険は、そうしたお客さまにとって有力な選択肢の一つになり得ます。
お客さまへの提案時に押さえておきたいポイント(まとめ)
- 50代後半以降は「死亡保障」から「医療保障」へ、お客さまの関心が移っていく傾向がある
- 持病・既往歴を理由に一般の医療保険への加入をあきらめている方にも、引受基準緩和型保険という選択肢がある
- 告知項目・加入条件・付加できる保障は商品ごとに差が大きいため、既往歴と照らし合わせた複数商品の比較が重要
- 保険料はやや高めだが、割引制度がある商品もあり、割高感を軽減した提案が可能
よくある質問
本記事は転載元の公式発表をもとに INSURANCE JOURNAL が掲載しています。掲載内容は公開時点の情報に基づきます。