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ドラッグストアの薬代も、 所得控除になる  ーセルフメディケーション税制を「使える制度」にするための基礎知識

ドラッグストアの薬代も、 所得控除になる ーセルフメディケーション税制を「使える制度」にするための基礎知識

風邪薬、鎮痛薬、湿布、アレルギー薬。ドラッグストアで購入する医薬品は、一回ごとの金額が小さいため、家計上の支出として見過ごされがちです。しかし、一定の健康管理に取り組んでいる人が、対象となる市販薬を年間1万2,000円を超えて購入した場合、「セルフメディケーション税制」による所得…

目次
  1. セルフメディケーション税制とは
  2. 利用できるのは「一定の取り組み」をした人
  3. 対象になるのは、指定された市販薬
  4. 医療費控除とは、どちらか一方を選ぶ
  5. 申告に必要なもの
  6. レシートを捨てない仕組みをつくる
  7. 保険相談の場で、税務を断定しない
  8. 参考資料

風邪薬、鎮痛薬、湿布、アレルギー薬。ドラッグストアで購入する医薬品は、一回ごとの金額が小さいため、家計上の支出として見過ごされがちです。

しかし、一定の健康管理に取り組んでいる人が、対象となる市販薬を年間1万2,000円を超えて購入した場合、「セルフメディケーション税制」による所得控除を受けられる可能性があります。

この制度で大切なのは、「市販薬なら何でも対象になる」わけではないこと。そして、通常の医療費控除とは同時に使えないことです。

本記事では、対象者、対象医薬品、控除額、確定申告の方法を整理しながら、相談時に誤解が起きやすい点を確認します。

セルフメディケーション税制とは

セルフメディケーション税制は、健康の保持増進や病気の予防に一定の取り組みを行っている人が、対象医薬品を購入した場合に利用できる所得控除です。

その年の1月1日から12月31日までに支払った対象医薬品の購入費が1万2,000円を超えると、超えた部分を所得から差し引けます。控除額の上限は8万8,000円です。

適用の基準年1万2,000円超

対象医薬品の購入額から1万2,000円を差し引きます。

所得控除の上限8万8,000円

購入額そのものが還付される制度ではありません。

現行制度の適用期限2026年末

2026年12月31日までに購入した対象医薬品が現行制度の対象です。

所得控除額 = 対象医薬品の購入額 − 1万2,000円控除できる金額は最大8万8,000円

例えば、年間5万円分の対象医薬品を購入し、保険金などによる補填がなければ、所得控除額は3万8,000円です。この3万8,000円がそのまま戻るのではなく、課税対象となる所得から差し引かれます。

利用できるのは「一定の取り組み」をした人

制度を利用するには、申告する本人が、その年に健康の保持増進や病気の予防に関する一定の取り組みを行っている必要があります。

一定の取り組みの例
  • 健康保険組合などが実施する健康診査、人間ドック、各種健診
  • 勤務先で受ける定期健康診断
  • 特定健康診査、特定保健指導
  • 市区町村が実施するがん検診などの健康診査
  • インフルエンザなどの予防接種

必要なのは、申告する本人の取り組みです。生計を一にする配偶者や親族が、同じ取り組みをしている必要はありません。

一方、対象医薬品の購入費は、本人の分だけでなく、生計を一にする配偶者や親族のために購入した分も合算できます。

対象になるのは、指定された市販薬

セルフメディケーション税制の対象は、厚生労働省が指定した一般用医薬品や要指導医薬品です。いわゆるスイッチOTC医薬品に加え、2022年以降は一定の非スイッチOTC医薬品も対象に加わっています。

処方薬は対象に含めない医師が処方した医療用医薬品は、セルフメディケーション税制の購入額には含めません。処方薬や診療費は、通常の医療費控除で検討します。

対象商品には、パッケージに「セルフメディケーション税控除対象」の識別マークが表示されている場合があります。ただし、マーク表示は義務ではないため、マークがない商品でも対象となることがあります。

最も確実なのは、購入時のレシートを確認することです。対象商品には、星印や「セルフメディケーション税制対象」などの表示が付けられています。

医療費控除とは、どちらか一方を選ぶ

セルフメディケーション税制は、通常の医療費控除の特例です。同じ年について、二つの制度を同時に利用することはできません。

通常の医療費控除

診療費、処方薬、通院交通費などを含む年間医療費が一定額を超えた場合に検討します。一般には、医療費負担が大きかった年に利用しやすい制度です。

セルフメディケーション税制

対象となる市販薬の購入額が1万2,000円を超えた場合に検討します。通院費は少ないものの、市販薬を継続的に購入した世帯で利用しやすい制度です。

どちらが有利かは、支払った医療費、対象医薬品の購入額、所得、保険金などの補填額によって変わります。一度どちらかを選んで申告した後、修正申告や更正の請求で別の制度に変更することはできません。

先に両方を計算してから選ぶ医療費控除とセルフメディケーション税制の対象額をそれぞれ集計し、どちらの所得控除額が大きくなるかを確認してから申告します。

申告に必要なもの

セルフメディケーション税制は、年末調整では利用できません。適用を受けるには確定申告が必要です。

  1. 対象医薬品の購入額を集計する
    レシートを見ながら、対象商品、購入先、購入額、保険金などで補填された額を整理します。
  2. セルフメディケーション税制の明細書を作成する
    国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用すれば、案内に沿って入力できます。
  3. 確定申告書に明細書を添付して提出する
    e-Taxまたは書面で申告します。
  4. レシートと取り組みの証明書を5年間保管する
    税務署から提示や提出を求められる場合に備え、自宅で保管します。

現在は、健康診断の結果通知表や予防接種の領収書など、「一定の取り組み」を行ったことを示す書類を確定申告書へ添付・提示する必要はありません。ただし、レシートとあわせて5年間保管する必要があります。

レシートを捨てない仕組みをつくる

制度を知っていても利用できない理由の一つが、年末になってからレシートが残っていないことです。1回の購入額が小さいため、対象額が年間1万2,000円を超えていたことに気づかないケースもあります。

家族分を含めて集計できるため、世帯全体で対象レシートを保管する場所を決めておくと管理しやすくなります。紙の封筒にまとめるほか、家計簿アプリやスマートフォンで撮影して記録しておく方法も考えられます。

  • ドラッグストアのレシートをすぐに捨てない
  • 対象商品に付いた印や表示を確認する
  • 本人だけでなく、生計を一にする家族分も集める
  • 健康診断や予防接種の書類を保管する
  • 通常の医療費に関する領収書も別に集計する

保険相談の場で、税務を断定しない

医療保険や健康に関する相談では、医療費控除やセルフメディケーション税制が話題になることがあります。制度の存在を案内し、申告漏れに気づいてもらうことには意味があります。

ただし、個別の税額やどちらの制度が有利かを断定するには、所得や家族構成、補填額などの確認が必要です。相談現場では一般的な仕組みを説明し、最終的には国税庁の作成コーナー、税務署、税理士などで確認してもらうことが適切です。

小さな薬代でも、1年分を集めると制度の対象になるかもしれません。

セルフメディケーション税制は、対象医薬品を年間1万2,000円を超えて購入し、健康診断や予防接種などの取り組みを行った人が利用できる制度です。家族分を合算できるため、世帯単位でレシートを残すことが第一歩になります。

一方で、すべての市販薬が対象になるわけではなく、医療費控除との併用もできません。「申告できます」と伝えるだけでなく、対象商品、必要書類、二つの制度の選択まで説明することで、制度は初めて実際の家計に役立つ情報になります。

参考資料

  1. 国税庁「セルフメディケーション税制とは」
  2. 国税庁「特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき」
  3. 国税庁「健康の保持増進及び疾病の予防への取組を行っている場合」
  4. 厚生労働省「セルフメディケーション税制について」

※本記事は2026年7月時点の公表情報をもとにした一般的な情報提供です。対象医薬品、制度の適用期間、申告手続きなどは変更される場合があります。具体的な申告に際しては、国税庁・厚生労働省の最新情報や税務の専門家へご確認ください。

本記事は転載元の公式発表をもとに INSURANCE JOURNAL が掲載しています。掲載内容は公開時点の情報に基づきます。

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