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自賠責保険料、11月1日から平均6.2%引き上げ 車種別の新料金と「始期」で変わる適用ルール

自賠責保険料、11月1日から平均6.2%引き上げ 車種別の新料金と「始期」で変わる適用ルール

自賠責保険の基準料率が2026年11月1日以降に保険期間が始まる契約から平均6.2%引き上げられる。自家用乗用自動車の24か月契約では17,650円から18,560円へ、軽自動車(検査対象車)では17,540円から18,660円へ改定される。適用される料率は車検や契約手続きの日ではなく、新しい保険契約の始期によって決まる。改定額のほか、10月から11月にかけての車検・更改手続きで確認すべき点を整理する。

目次
  1. 自賠責保険、11月1日始期から平均6.2%引き上げ
  2. 車種別の新旧料金 自家用乗用車は910円、軽自動車は1,120円の引き上げ
  3. 10月中に手続きしても新料金? 適用を分ける「保険始期」
  4. 原付・二輪、沖縄県・離島では料金表が異なる
  5. なぜ値上げするのか 滞留資金の減少と物価・賃金上昇が背景に
  6. 任意保険の参考純率14.4%引き上げとは何が違うのか
  7. 車検・更改の見積もりで点検したい4項目
  8. INSURANCE JOURNAL VIEW 料金改定で重要なのは適用条件の確認
  9. 関連記事
  10. 参考資料

2026年11月1日から自賠責保険の基準料率が改定される。車検や契約手続きを10月中に行う場合でも、新しい保険契約の始期によっては改定後の料金が適用される。

実務で重要になるのは、手続きを行った日と、保険期間が始まる日を分けて確認することだ。

本稿では、損害保険料率算出機構(以下、機構)の原資料で車種別の新旧料金を確かめ、旧料金と新料金を分ける「保険始期」の考え方、引き上げの理由、任意保険の改定との違いを整理する。最後に、車検・更改の見積もりで点検したい項目をまとめる。

※本稿は2026年10月13日時点で機構などが公表している資料に基づく。記載の金額は機構の基準料率表の金額であり、個々の契約の料金は見積もりと保険会社の案内で確かめたい。

自賠責保険、11月1日始期から平均6.2%引き上げ

機構は2026年4月30日、自賠責保険の基準料率を平均6.2%引き上げる届出を金融庁長官に行った。機構の「【自賠責保険】基準料率届出のご案内」によると、今回の届出は2026年4月17日に開かれた金融庁・自動車損害賠償責任保険審議会を踏まえたものだ。適合性審査は5月21日に終わっている。

適用の時期について、機構は同じご案内で「新料率は2026年11月1日以降に保険期間が始まる契約に適用されます」と説明している。機構の「自賠責保険基準料率」のページでも、2026年4月30日届出の表は2026年11月1日以降に保険期間の始期を有する契約に、現行の2023年・2024年届出の表は2026年10月31日以前に始期を有する契約に適用されると示されている。

自賠責保険の基準料率は、機構の会員保険会社が自社の保険料率として使う料率だ。機構は「現在、全ての会員保険会社が基準料率を使用しています」と説明している。

ご案内に載る自家用乗用自動車(24か月契約、離島と沖縄県を除く地域)の料金の推移のグラフでは、2013年度に27,840円へ引き上げられた後、2017年度・2020年度・2021年度・2023年度と引き下げが続いた。2023年度の17,650円が現行の料金で、今回の18,560円は、このグラフで見る限り2013年度以来の引き上げになる。

出典:損害保険料率算出機構「【自賠責保険】基準料率届出のご案内」(2026年4月30日金融庁長官への届出)、同「自賠責保険基準料率」のページ

車種別の新旧料金 自家用乗用車は910円、軽自動車は1,120円の引き上げ

6.2%は平均の改定率だ。機構は「改定率は、契約条件(車種・保険期間等)によって異なります」と注記している。主な車種の24か月契約(離島と沖縄県を除く地域)は、次のとおりだ。

車種(24か月契約)改定前改定後変動
自家用乗用自動車17,650円18,560円+910円(5.2%)
軽自動車(検査対象車)17,540円18,660円+1,120円(6.4%)
自家用小型貨物自動車20,340円21,430円+1,090円(5.4%)

※機構「基準料率届出のご案内」の主要車種の改定率の例から作成。

最も代表的な自家用乗用自動車の24か月契約は5.2%の引き上げで、平均より小さい。取り違えやすいのは、軽自動車との関係だ。改定前の24か月契約は軽自動車のほうが110円安かったが、改定後は軽自動車が18,660円で、自家用乗用自動車の18,560円を100円上回る。

機構は3年契約(36か月)の例も示している。自家用乗用自動車は23,690円から24,690円(4.2%)、軽自動車(検査対象車)は23,520円から24,830円(5.6%)になる。継続車検で使われることのある25か月契約や、新車購入時の37か月契約も、基準料率表で料金が分かれている。見積もりでは、まず何か月の契約かを確かめてから料金表の金額を読みたい。

出典:損害保険料率算出機構「【自賠責保険】基準料率届出のご案内」(2026年4月30日届出)、同「自動車損害賠償責任保険基準料率」(2026年4月30日届出、2023年1月18日届出)

10月中に手続きしても新料金? 適用を分ける「保険始期」

窓口で混同しやすいのは、手続きの日と保険期間の始期だ。機構は届出のご案内で、新料率は11月1日以降に保険期間が始まる契約に適用すると説明している。手続きを10月中に済ませても、保険期間が11月1日以降に始まれば改定後の料金になる。JAF Mate Onlineも、契約手続きの日ではなく保険期間の開始日で判断されると説明している。

新しい契約の保険始期当たる料率自家用乗用自動車・24か月
2026年10月31日まで改定前の料率17,650円
2026年11月1日以降改定後の料率18,560円

※離島と沖縄県を除く地域。契約手続きの日ではなく、保険期間の始期で判断する。

10月中に車検を受ける2台の例

次は、編集部が作成した架空の例だ。いずれも離島と沖縄県を除く地域の自家用乗用自動車で、新しい自賠責の始期を、いまの契約の満了に合わせて設定する場合を想定している。

  • 1台目:いまの自賠責の満了が10月28日。10月20日に継続車検の手続きをし、新しい契約の始期は10月28日。始期が10月31日以前なので、改定前の料率(24か月なら17,650円)が当たる
  • 2台目:いまの自賠責の満了が11月5日。同じく10月20日に手続きをし、新しい契約の始期は11月5日。手続きは10月中でも、始期が11月1日以降なので、改定後の料率(24か月なら18,560円)が当たる

これらは料率の適用時期を説明するための例であり、実際の継続車検では、車検証の有効期間と現在の自賠責保険の保険期間を確認する必要がある。新しい契約の始期や必要な保険期間は、個々の車両と契約の状況に応じて確認する。

出典:損害保険料率算出機構「【自賠責保険】基準料率届出のご案内」(2026年4月30日届出)、同「自賠責保険基準料率」のページ、JAF Mate Online(2026年7月2日)

原付・二輪、沖縄県・離島では料金表が異なる

二輪や原付も、11月1日以降の始期から改定後の料金になる。主なものの24か月契約(離島と沖縄県を除く地域)は次のとおりだ。

車種(24か月契約)改定前改定後変動
小型二輪自動車8,760円9,640円+880円
軽二輪(検査対象外の軽自動車)8,920円9,780円+860円
一般原動機付自転車8,560円9,630円+1,070円(12.5%)
特定小型原動機付自転車8,040円9,040円+1,000円

※機構の基準料率表(2026年4月30日届出、改定前は2023年1月18日・2024年1月17日届出の表)から作成。改定率は機構が例示した一般原付だけを載せた。

一般原付の24か月の改定率12.5%は、自家用乗用自動車の5.2%の2倍を超える。一般原付の改定率が大きい理由は、届出のご案内では個別に説明されていない。車検のない原付や軽二輪は、12か月から60か月まで契約期間ごとに料金が並ぶため、何か月の契約にするかを顧客と確かめてから、機構の基準料率表で金額を確かめたい。

地域についても注意が要る。機構の基準料率表は、離島以外の地域(沖縄県を除く)、離島地域(沖縄県を除く)、沖縄県(離島地域を除く)、沖縄県の離島地域の4つに表を分けている。本稿で挙げた金額は、いずれも離島以外の地域(沖縄県を除く)の料金だ。例えば改定後の自家用乗用自動車の24か月契約は、離島地域(沖縄県を除く)では8,260円、沖縄県(離島地域を除く)では10,620円と、本土の金額とは大きく違う。

どの表が当たるかは、顧客の住所ではなく、車の使用の本拠で決まる。離島や沖縄県で使う車は、本土の金額で答えず、見積もりでどの地域の料金が当たっているかを確かめたい。

出典:損害保険料率算出機構「【自賠責保険】基準料率届出のご案内」(2026年4月30日届出)、同「自動車損害賠償責任保険基準料率」(2026年4月30日届出、2023年1月18日届出、2024年1月17日届出)

なぜ値上げするのか 滞留資金の減少と物価・賃金上昇が背景に

これまでの自賠責保険料率には、過去の契約から生じた滞留資金を活用して純保険料率を引き下げる仕組みが反映されていた。今回の改定は、その滞留資金の減少に加え、物価・賃金の上昇などに伴う経費増加を踏まえ、収支均衡を図るために行われるものだ。

機構の届出のご案内によると、2023年度に引き下げられた現行料率には滞留資金(収支余剰と運用益)の一部が充てられており、その結果、純保険料率は収支が均衡する水準より3割程度安く設定されていた。この滞留資金が、保険金の支払いによって費消されてきた。

機構が示した平均6.2%の改定率の内訳は、純保険料率に関する要因が1.9%、社費・代理店手数料に関する要因が4.3%となっている。いずれも現行料率の構成割合を基に算出した数値であり、各構成部分そのものの改定率を単純に示したものではない。

  • 純保険料率に関する要因(1.9%):現行料率は2022年度末時点の滞留資金7,239億円を引き下げに使う前提で算出されていた。事故の緩やかな減少はあるものの、保険金支払いの進捗によって2025年度末時点の滞留資金の残高が約2,000億円減少したとしている
  • 社費・代理店手数料に関する要因(4.3%):契約の締結・管理、保険金の支払い、それを支えるITシステムの社費が、物価・賃金の上昇を背景に上がった。2024年度の経費計算基準の見直しで支出社費は150億円程度(概算値)削減されたが、収支均衡には社費で3.8%の引き上げが必要になったという。代理店手数料も77円引き上げる

機構は事故の緩やかな減少にも触れたうえで、改定の理由として滞留資金の減少と経費の上昇を挙げている。顧客に理由を聞かれたときは、この2点を軸に答えるのが資料に沿った説明になる。なお、政府の保障事業などに充てる賦課金の金額に変更はない。

出典:損害保険料率算出機構「【自賠責保険】基準料率届出のご案内」(2026年4月30日届出)

任意保険の参考純率14.4%引き上げとは何が違うのか

今回の自賠責保険の基準料率改定と、2026年6月に届け出られた任意自動車保険の参考純率の平均14.4%引き上げは、異なる制度に基づくものだ。

自賠責保険では、機構の会員保険会社が同じ基準料率を使用している。一方、任意自動車保険の参考純率は、各保険会社が保険料率を算出する際の参考となるものであり、各社の保険料改定率と一致するものではない。14.4%は2027年1月以降に保険始期を有する契約を想定した、自動車の使用地域が沖縄県以外のセット契約の平均改定率で、契約条件ごとの改定率は異なると機構は説明している。

顧客に説明する際は、自賠責の新料金と、任意保険の更改時の保険料を分けて案内する必要がある。任意保険の更改で前年との差をどう説明するかは、既報「無事故なのに自動車保険料が上がるのはなぜ? 更改時に代理店が伝えたい理由と見直しの順序」で整理した。

出典:損害保険料率算出機構「【自動車保険】参考純率届出のご案内」(2026年6月23日金融庁長官への届出)

車検・更改の見積もりで点検したい4項目

以下は、法令や機構の資料にそのまま列挙されたものではなく、INSURANCE JOURNAL が実務上の確認ポイントとして整理したものだ。10月下旬から11月上旬に始期が来る契約を中心に考えたい。

1.新しい契約の始期

いまの自賠責保険証明書と車検証の有効期間を見て、新しい契約の始期がいつになるかを確かめる。始期が10月31日以前か、11月1日以降かで、当たる料金表が変わる。手続きの日だけを見て判断しない。

2.保険期間

24か月か25か月か、新車なら37か月かを確かめる。原付や軽二輪は、何か月の契約にするかを顧客と確かめたうえで料金を示したい。

3.車種区分と地域

軽自動車の検査対象車か対象外車か、一般原付か特定小型原付か、といった区分で料金は変わる。使用の本拠が離島や沖縄県にある車は、別の料金表が当たる。

4.見積もり・案内文の金額

10月中に作った見積もりや案内文で、始期が11月1日以降の契約に改定前の金額を書いていないか、逆に10月中に始まる契約に改定後の金額を書いていないかを見直す。改定前後の金額を両方示すときは、どちらがどの始期の料金かが分かる書き方にしておきたい。

INSURANCE JOURNAL VIEW 料金改定で重要なのは適用条件の確認

今回の改定は、自家用乗用自動車の24か月で910円の引き上げだ。金額だけを見れば、大きな改定には見えないかもしれない。

しかし窓口で実際に問われるのは、目の前の車にどちらの料金が当たるかだ。11月1日をまたぐ数週間は、同じ日の手続きでも料金が分かれる。「10月中に車検を受ければ前の料金です」ではなく、「この車の新しい自賠責は〇月〇日始まりなので、〇〇円になります」と、始期を添えて答えたい。

機構の会員保険会社は、いずれも同じ基準料率を使っている。だから自賠責の料金について募集人が確かめることは、主に始期・保険期間・車種区分・地域という契約の条件だ。10月下旬から11月上旬に満了を迎える車を一覧にし、すでに渡した見積もりの金額が始期に合っているかを見直しておくと、改定をまたぐ時期の説明のやり直しを防ぎやすい。

関連記事

  • 無事故なのに自動車保険料が上がるのはなぜ? 更改時に代理店が伝えたい理由と見直しの順序

https://ins-journal.com/articles/9f6635b4f3c1/

参考資料

  • 損害保険料率算出機構「【自賠責保険】基準料率届出のご案内」(2026年4月30日金融庁長官への届出)

https://www.giroj.or.jp/ratemaking/cali/pdf/202604_announcement.pdf

  • 損害保険料率算出機構「自動車損害賠償責任保険基準料率」(2026年4月30日届出)

https://www.giroj.or.jp/ratemaking/cali/pdf/202604_table.pdf

  • 損害保険料率算出機構「自賠責保険基準料率」(改定前の2023年・2024年届出の表もこのページに掲載)

https://www.giroj.or.jp/ratemaking/cali/

  • 損害保険料率算出機構「【自動車保険】参考純率届出のご案内」(2026年6月23日金融庁長官への届出)

https://www.giroj.or.jp/ratemaking/automobile/pdf/202606_announcement.pdf

  • JAF Mate Online「自動車交通トピックス」(2026年7月2日)

https://jafmate.jp/car/traffic_topics_20260702_1199387.html

※本記事は2026年10月13日時点で損害保険料率算出機構などが公表している資料に基づく一般的な整理です。平均6.2%は基準料率の平均改定率であり、個々の契約の改定率を示すものではありません。記載の金額は基準料率表の金額で、車種・保険期間・使用の本拠の地域によって異なります。個別の案内では、当該契約の始期と保険期間、保険会社または共済の案内および見積りを確認してください。

情報源

本記事はINSURANCE JOURNAL編集部による解説・分析です。制度・商品の詳細は公式発表をご確認ください。

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